不朽の名作「カサブランカ」で随所に流れるメロディ、 As Time Goes By(時の過ぎ行くままに)が無性に聞きたくなり、 先週、アマゾンでブルーレイ版を注文した(1,859円)。 翌日配達便だったので、週末は合計で3回も観た。 最初は日本語吹き替え、そしてオリジナル音声(英語字幕付き)、 最後は日本語字幕付きで楽しんだ。 ウィキでストーリーや製作背景を調べ、見どころも押さえておくと面白い。 ラブロマンス映画の代表作であるが、アメリカが第二次世界大戦に参戦した、 1942年の製作とあって、プロパガンダ色が散りばめられている。 主役のリック(ハンフリー・ボガード)とイルザ(イングリッド・バーグマン)が再会する モロッコのカサブランカにある「カフェ・アメリカン」には、 ドイツ軍に侵攻されたパリを中心とするヨーロッパの国々から、 自由の国アメリカを目指す人々が発給ビザを入手するため、 情報交換やヤミ業者との取引で集まっている。 21世紀の現代でも、世界のどこかで同じような出来事が起こっていると考えるのは、 あながち見当違いではないだろう。 映画を完全無料出逢いとして見た場合、カサブランカを支配している親独のヴィッシー政権に対し、 内心は反旗を翻しているものの表向きは権力者の側に立つ、 フランス植民地警察ルノー署長の描き方が、とても面白い。 シニカルとユーモアが入り混じった盛りだくさんの場面を楽しむことができる。 地下組織のレジスタンス幹部であるイルザの夫ラズロがカサブランカに潜入し、 その情報を得たドイツ陸軍のシュトラッサー少佐は、アメリカへの旅立ちを阻止すると同時に、 カサブランカでの活動も抑止するため、「カフェ・アメリカン」の営業停止命令を出す。 ルノー署長が思いついたその理由は、賭博行為が行われていたこと。 しかし、署長もそこで利益を享受していたことが、何の躊躇いもなく語られる。 リックと労苦をともにしてきた酒場のミージシャンであるサムが、 1930年代のジャズやスコット・ジョップリンのラグタイムを彷彿とさせる音楽で、 ストーリーにスパイスを利かせる。哀愁のこもった切ないメロディは、 戦争が残虐さや愛情をも引き裂く愚かな人間たちのエゴイズムを象徴しているかのよう。 有効走査線数が1,080本のブルーレイ版は、モノクロの世界ではあるが、 その階調の深さでDVDを遥かに凌いでおり、細部の描写に生命力を与えてくれる。 タジオ撮影が大半と思われるが、カサブランカの風景、 マルセーユ駅でイルザを待つリックのコートに降りかかる冷たい雨、 ラストシーンとなる夜霧の中を歩くルノー署長とリックの後ろ姿など、 随所にブルーレイの威力を垣間見ることができる。 モノクロの名作をじっくりと味わうのも悪くない、そう思った。 蛇足になるが、カサブランカというタイトルの好きな曲がもうひとつある。 1982年にヒットしたバーティー・ヒギンズが歌うこの曲には、いろいろな想い出がある。 昨年の無料SNSにも書いたので詳細は省くが、 「君の瞳に乾杯!」というリックの言葉を言えるようになってみたいものだ。